近年、「冷えない」「温度ムラが大きい」「電気代が高い」
といった空調に関する課題が多く存在します。
特に天井が高く、容積の大きい建物では、一般的なエアコンのみでは効率的な空調が難しいケースも少なくありません。
また、従来の輻射式空調(冷温水タイプ)などの設備でも、初期費用や運用管理の面で課題が生じることがあります。
そのような背景の中で開発されたのが、
エアコンと輻射(ふくしゃ)空調を組み合わせた「エコウィンハイブリッド」です。
輻射については下記記事をご覧ください。
輻射式冷暖房・ハイブリッドタイプと冷温水タイプの違い
輻射式冷暖房システム「エコウィン」には、ハイブリッドタイプと冷温水タイプの2種類があります。
今回はその違いと特徴についてお話しします。
①ハイブリッドタイプとは
熱源に従来からのエアコンの冷媒ガスを利用しますので、新たな熱源設備が不要でイニシャルコストが安価ですみます。
あと操作もエアコンのリモコンで操作すれば、自動的に連動して作用するので、温度管理も非常に簡単です。
また、立上り時(稼働開始時)には、エアコンのドラフト(風)で室内の空気を一気に暖めたり冷したりすることが出来ますので、輻射式冷暖房のウィークポイントである設定温度に達するまでに時間がかかるという部分を補うことが出来ます。
このハイブリッドタイプはエコウィンを製造している、エコファクトリー社の特許技術で、他社からは発売されていない先進的な製品です。
エコウィンハイブリッドタイプは、今後の輻射式冷暖房システムの主流となってくると考えられています。
②冷温水タイプとは
熱源に専用の冷温水チラーユニットを設置し、専用配管を通して輻射パネルに冷温水を循環させるシステムです。従来からあった輻射式冷暖房システムはこの冷温水タイプとなります。
このタイプは、冷温水を送る専用配管が必要になりますので、基本的に既存建築物には設置が困難なため、もっぱら新築案件にて導入されています。
室内に設置される輻射パネルには、全く動力部分が無く、ファンなどもありませんので、完全に無風状態での冷暖房が可能です。
ただし立上り時(稼働開始時)から設定温度に達するまでの時間が多くかかるので、頻繁に冷暖房を切るような施設には不向きと言えます。
体育館施設やホール、総合病院、老人ホーム、幼稚園(保育園)など大型施設に多く導入されています。
輻射式冷暖房エコウィンのメリット・デメリット、間違った認識とは
輻射式冷暖房システムは大きく分けて2種類あります
次世代の冷暖房システムとして、住宅から体育館などの大型施設まで、今注目を集めている輻射式冷暖房システムですが、大きく分けて冷温水タイプとハイブリッドタイプの2種類があります。
1)冷温水タイプとは、水(不凍液)を熱源チラーユニットで暖めたり冷したりしたものを、輻射パネルの配管に流すというものです。
体育館や大規模施設など、大空間に適しています。
エコウィンをはじめ数社が製造していますが、中には樹脂パイプなどに冷温水を流すだけで、輻射熱効果が殆ど無い対流式空調タイプのものがありますので、注意が必要です。
2)ハイブリッドタイプとは、エアコンの冷媒ガスを輻射パネルの配管に流すというもので、エコファクトリー社が数年前に開発し特許取得したエコウィンハイブリッドのみとなります。
エアコンを併用するため、輻射式空調のデメリットである立ち上がりに時間がかかる部分をカバーできます。
一般住宅や小~中規模施設に適しています。
輻射式冷暖房は冷房能力が弱い?
輻射式冷暖房システムは冷房能力が弱いと言われることがありますが、それは基本的な熱負荷計算が間違っていて、そもそも能力不足の状態の場合です。
設置する施設の使用状況に応じた熱負荷計算を正確に算出して、その結果に応じた設備設計を行えば、冷房の効きが悪くなることはありません。
輻射式冷暖房でも換気をすれば、一般的なエアコンと同じで効率が悪い?
一般的なエアコンは空気を暖めたり冷したりして温度調節を行っているので、換気をすれば折角暖めたり冷したりした空気が入れ替わり、再度エアコンがフル稼働で温度調節を行うので、非常に効率が悪く使用電力が上がってしまいます。
一方、輻射式冷暖房は空気ではなく、床・壁・天井・家具・人などの物体を直接温めたり冷したりするので、換気で一時的に空気が入れ替わったとしても、部屋自体が温まったり冷えたりしているので、急激な温度変化はしにくくなっています。入れ替わった空気も部屋全体で温度調整をカバーするので、短時間で元の設定温度に復帰します。
最近エコファクトリー社よりリリースされた、エコウィンエアユニットを併用すれば、その少しのロスもすることなく、24時間換気が可能となります。
エコウィンエアユニットの詳細はこちら >> ecowin air-Unit(エコウィン エアユニット)換気システム
オイルヒータと同じで電気代がかなりかかるのでは?
オイルヒーターは、熱源として電熱ヒーターを使用していますので、使用電力が大きくて電気代がかなりかかってしまいます。
エコウィンハイブリッドは、熱源としてエアコンの冷媒ガスを2次利用しているので、新たな電力を必要とせず輻射冷暖房の効果で、エアコン自体の消費電力も約30~50%削減できますので、24時間空調でも非常にローコストで快適な空調が可能となります。
輻射式パネルはメーカーによって価格のばらつきがかなりあるのは何故?
前述のハイブリッドタイプはエコウィンしかありませんので、比較対象も当然ないのですが、冷温水タイプは数社が製造していますので、その違いについてご説明させていただきます。
1)エコウィンパネル
設置場所の状況に応じて数タイプあり、基本的に輻射熱の効果が最大限になるようにアルミ合金の放熱フィンの配列を設定していますので、パネル面積当たりの冷暖房能力が、他社の物と比較してかなり高くなっています。
2)鉄製フィンタイプ
放熱フィンが設置面に対して直角に配列されていて、放射熱の効果は小さくなりますので、主に空気の対流で冷暖房空調を行うものと判断できます。パネル面積当たりの冷暖房能力が小さいので、パネルの設置台数が多く必要となります。
3)樹脂パイプタイプ
放熱部が丸いパイプ状の樹脂で出来ており、放射熱の効果は殆ど無いと考えられますので、空気の対流で冷暖房を行うものとなります。
主に住宅などの小規模施設向けとなり、パネル面積当たりの冷暖房能力は小さくなります。
※一部メーカーでは、壁面等に専用の塗装(セラミックなど)が必要というところもあるようですが、他のメーカーでは全く必要ではないということをご留意ください。
パネル当たりの冷暖房能力が重要
以上の事より単純なパネル価格の比較ではなく、パネル面積当たりの冷暖房能力がどのくらいあるかが重要であることは言うまでもありません。
パネルの冷暖房能力は「kW」で表されており、kW当たりの単価(単位価格)を比較して選択されることをお勧めいたします。
エコウィンハイブリッドは室外機だけで大丈夫なの?
エアコンの室外機のみを接続してエコウィンハイブリッドを設置することは可能でしょうか?というご質問をよくお受けしますが、 答えはNOです。
どうしてかと言いますと、エアコンは室内機に制御システムが組み込まれていますので、室外機のみだと機能させることが出来ません。
室内機内にあるサーモ(温度)センサーで室温をキャッチし、リモコンで設定した温度と差異があれば、室外機を自動的にコントロールして、冷媒ガスを暖めたり冷したりするシステムを稼働させます。
その冷媒ガスが、エコウィンハイブリッド内の配管を通り、発熱フィンを暖めたり冷したりしますので、エコウィンに接続するエアコンは室外機だけではなく、室内機も必ずセットで必要になります。
(接続イメージは上写真を参照してください)
エアコンの設定温度に達すれば、エアコンからのドラフト(風)は微風状態となりほとんど気にならないくらいになりますので、エアコンの風が苦手な方でもエコウィンハイブリッドを設置していれば、不快なドラフト(風)を受けることもほとんどなくなります。
まとめ
エコウィンには「ハイブリッドタイプ」と「冷温水タイプ」があり、それぞれ仕組みや適した建物が異なります。
中でもエコウィンハイブリッドは、エアコンの冷媒ガスを活用することで、既存建物にも導入しやすく、立ち上がりの早さと輻射の快適性を両立できるのが大きな特長です。
一方で、冷温水タイプは静かで快適性に優れる反面、専用設備や配管が必要になるため、主に新築や大規模施設向けとなります。
空調方式を選ぶ際に大切なのは、単に設備の種類だけを見るのではなく、建物の用途・運用方法・導入条件に合っているかという視点です。
快適性と省エネ性、さらに導入しやすさまで含めて考えると、エコウィンハイブリッドは非常にバランスの取れた空調システムといえるでしょう。
